- カテゴリー: 事例・インタビュー
- 公開: 最終更新:
「1ヶ月のめり込んで勉強すれば、なんとかなるんじゃないか」—— 松江で検索1位になった呉服店の、ホームページとSNSの使い分け

島根県松江市の「えんや呉服店」。三代目の塩冶 栄(えんや さかえ)さんは、「松江 着物」で検索するとほぼ1位に表示されるホームページを、すべてご自身でつくられました。
けれど始まりは「パソコン系は苦手意識がすごくありました」という一言から。そこから7年、お客様の年齢層は現役で働く世代へと広がりました。「不器用なままでいいんじゃないか」と話す塩冶さんに、ホームページとSNSの使い分けと、その効果を伺いました。

「きものは、面白くて楽しい世界です」
まずは、えんや呉服店様のご紹介をお願いできますか。昭和28年創業と伺っています。
塩冶さん えんや呉服店は昭和28年創業で、元々は洋服の服地や生地を売って、オーダーメイドで洋服をつくるお店からスタートしています。祖父母が商売をしたくて始めたお店です。そこから昭和42年に今の建物を建てたんですけども、洋服だけではなく、着物が好きだという理由で祖母が、同じ場所の2階で呉服の販売を始めました。なので、実はこのお店も7、8年ぐらい前までは、1階は洋服、2階で着物を売ってたんです。
ホームページに「きものは面白くて楽しい世界です」というキャッチコピーがありました。もともとあったものですか?それともこのタイミングで作られたのですか?
塩冶さん この「着物が面白い世界だ」というニュアンスは、尊敬する呉服屋さんがそういう発信をされていました。僕自身が着物の世界に入った時は、楽しい世界というよりは、ちょっと難しい世界で、改まった、行儀のいい世界というイメージでした。
ただ、しばらく経つうちに、よりファッションとして楽しむ世界でもあると感じるようになりました。その楽しみ方をもっと伝えられる方がいいんじゃないかな、と思ったんです。少なくとも僕自身や妻が着物を着てる姿は、着なきゃいけないからではなく楽しいから着ている。そういう世界だったので、それをキャッチコピー的に使っています。

実店舗では教室もされているかと思うんですけども、どういった方が来られるのですか?
塩冶さん 基本的には地元の方が来てくださっています。いろんな教室をやってきて、今定着しているのは着物の着方教室です。2階に少し広いスペースがあって、そこでやっています。

教室のお客様は、どういった経路で来られるのですか?
塩冶さん 紹介もありますけど、グーペさんだから言うわけじゃないけど、ホームページを見たっていう方が、やっぱり基本かなと思います。
「1ヶ月のめり込んで勉強すれば、なんとかなるんじゃないか」
ホームページを作ろうと思ったきっかけや、当時感じていた課題を教えてください。
塩冶さん 確かグーペさんでホームページを作ったのが2019年か2020年か、それぐらいだと思うんですけども、その頃は、非常にいろんなことに悩みまくっていた時代です。
その時点でうちのホームページは、あるのはあったんですが、とっても簡単なページでした。それを見て来店っていうのが全然なかったので、「ホームページなんとかしなきゃな」「SNSも何かやらなきゃな」っていう状態でした。
僕自身、パソコン系が実は苦手意識がありました。パソコンも分からないし、SNSなんかどれもやったことないし、ホームページどうやったらいいんだろうという状態でした。ただ、お店をなんとかしなきゃいけない。手っ取り早くやるのは、まずはインターネットの世界じゃないかっていうところで、ホームページを作ろうとなりました。
グーペを知ったきっかけと、これに決めた理由を教えてください。
塩冶さん 何社か候補があって、同じ素材を使って、無料でテンプレートから作ってみた気がします。
テンプレートが使いやすいっていうのと、自分の中で「こういうサイトの方がいいかな」と思ってたのが、グーペさんのだと割とカチッとはまったんです。
独自ドメインは、最初から取ろうと思っていたのですか?
塩冶さん ホームページを作るにあたって全然知識がなくて、ただ業者に頼むと30万とか、そんな世界でした。これ1ヶ月のめり込んで勉強すればなんとかなるんじゃないか、と色々調べた時に、まずは独自ドメインを取らないといけないと知りまして、ドメインを取りました。
独自ドメインに「えんや」ではなく 「matsue-kimono.com」、松江×着物という言葉を選ばれた理由はあるのですか?
塩冶さん それは、松江で1番の呉服屋になりたいという思いからです。多分、お店の屋号を入れて取るのが一般的だと思うんですけど、あえての「松江」というところでやりました。
実際、「松江 着物」で調べるとほぼ1位で出ますからね。意図した通りになってきているのかなと思います。
作り込んだのは、最初の年の数ヶ月
まったく経験も知識もなく始められた、と。
塩冶さん そうです。ただ、ネットで色々調べた時に、画像に文字を入れるのではなく、直接ページ上に文字を打ち込んだ方が検索には引っかかりやすい、という情報を見つけました。写真の中に文字が入ってる方が見た目はかっこいいんですけど、確かに考えてみれば、これは検索に引っかからないよなと思いました。見た目重視よりは、検索に出て、内容が伝わればいいわけで。その辺りもグーペさんのサイトがやりやすかったです。
HTMLやCSSも、分からないなりにちょっと触ってるんです。外部のカレンダーをサイトに貼り付けたりとか。ただ、触り出すとどんどんおかしなことになっていって、ドツボにはまった時があったんです。そんなとき、サポート体制も、すごいありがたいなと思いました。
お申し込みは2019年の8月でした。今フリーページが15ページほどありますが、これは自然に増えていったのですか?それとも最初から増やしていくつもりだったのですか?
塩冶さん 作り込んだのは最初の年の数ヶ月の間です。もうとにかく検索に引っかかるワードを散りばめたくて、結果的にページ数が多くなった、というところかなと思います。検索の順位を、半年か1年ぐらいチェックしてたんです。いろんなワードで、えんや呉服店が何位に出てるかを、Excelのシートに「今週はこのワードでは何位だった」とずっと記録していました。

「ホームページを見てきました」というお客様はいらっしゃいますか?
塩冶さん はい。その検索の順位がぐっと上がった時に、そこから初めて新規のお客さんが来られるようになりました。それはもう、あからさまに変わった。その内容は着物のクリーニングなんですけど。着物のお洗濯で迷った時に、スマホで「松江 着物 クリーニング」と検索して、えんや呉服店が1ページ目に出て、それを見て来られるんです。
ホームページは、情報が集まる場所
ホームページの更新は、今はどれぐらいの頻度ですか?
塩冶さん 今ホームページの更新がほぼできていないので、本当はもうそろそろ書き換えないといけないなと思っているところです。ただホームページに関しては、プラットフォームというか、集まってくる場所と捉えています。SNSを見た上で、より詳しい情報——営業時間はどうなんだ、電話番号は何なんだ——を見るための場所なのかなと思っています。
4つのSNS、それぞれの役割
YouTube、Instagram、X、Facebook、ブログ、ネットショップ、LINEと多くのチャンネルをお持ちですが、それぞれの役割や、力を入れているものはありますか?
塩冶さん SNSをやり始めたのは2019年か2020年ぐらいで、1番最初はFacebookでした。お客様の年齢層が少し高めだから、そっち方向がいいかなという思いでした。いろんなグループに所属して——着物関係のグループもあれば地域のグループもあるんで——そういうところに自分でバンバンシェアしていく。拡散力がFacebookの魅力かなと。
その後すぐInstagramも始めました。Instagramはとにかく写真。パッ見で止まらせないといけないので、写真映えですよね。ここを重要視しないといけない。X(旧Twitter)はどっちかっていうと自分をさらけ出す場。商売の世界だけではなく、本性的なところも垣間見せるのが面白みじゃないかな、と勝手に思っていて。そういうのができればいいなというところで、やり始めました。
それに近いところがYouTubeですね。動画なので、声のトーンやイントネーション、抑揚、表情まで含めて自分を出せる場所になっています。

「1時間見続ける人は、相当なコアな人」
塩冶さん その昔、僕が呉服屋として悩んでいた時に、ある呉服屋さんが10年以上前からYouTubeをやっていました。ずっと聞いていると、少し神様のように神格化されていくんですよね。実際に出会うと、こっちはもう緊張して喋れなくなっちゃう。だから僕も昔ライブをやってましたけど、1時間ずっとだらだら喋ってるのを見続ける人は、相当なコアな人になるわけで。そういう人たちを10人20人作れたら、その人たちに向けた商売をすればいいのかな、と思ってた時があります。
ライブを見ていた方が、実際にお店に来られることもあったのですか?
塩冶さん お客様は毎週配信で僕の顔を見ているので、もう仲がいい感覚なんでしょうけど、僕は初めてお会いするので、正直「どなたですか」という状態で。お客様はもう「あ、えんやさん、いつも見てますよ」「お酒好きだから持ってきましたよ」みたいな感じで話しかけてくださる。
僕のほうも、初めてのドキドキをする必要がないんです。配信で僕の姿を見てくださっているので、もう構えずに話せる相手になっているんです。その安心感が僕にもあるので、常連さんとのやり取りをすぐに作れるんです。

「KIMOレンジャー」のプロモーションビデオ、おもしろかったです。あれはYouTubeでの発信がきっかけだったのですか?それとも元から全国につながりがあったのですか?
塩冶さん 埼玉の呉服屋さんとライブをやっていたら、ほかにも3人の呉服屋さんが見に来てくださっていて。「5人揃ったらゴレンジャーですね」「じゃあ名前はKIMOレンジャーか」と冗談でやってたんです。
そしたら、それを見てる人が「私が作曲します」「私が作詞します」「私はピアノの先生だから、楽譜を送ってもらえば弾きます」って。もうそれが1つの放送で、全部そういう人たちが出てきたんです。その後、実際に絵コンテと楽譜が届いて、弾く人がピアノを持ってきて演奏して、みたいな。
呉服屋さん同士のやり取りがきっかけで、得意な方が集まって。すごいですね。
塩冶さん そうです。それぞれのただの悪のりが現実になっちゃった。動画編集は僕がしたんですけども、切り替えが早い映像なので、とにかく大変だったとしか言えないです。
伸びたのは配信ではなく「帯の締め方」だった
チャンネル登録者数が1,300を超えていますが、グッと伸びた時期があったのですか?
塩冶さん 1,300人がそこまで多い数字とは思ってないんですけども、配信やライブについては、そんなに伸びる要素ではなかったなと思ってます。それよりは、帯の締め方とか、そういう便利なやり方の情報を出してるのが伸びています。それを見て登録された方がいらっしゃる、というところかなと思います。

配信をやってみて、集客以外に良かったことはありますか?
塩冶さん YouTubeは、話し続けると、自分の中の迷いやモヤモヤが固まっていくというか。喋ることで「あ、こうすべきなんだ」っていうのが見えてくる。自分の中の考えがまとまっていくんです。もちろん外に向けた情報発信でもあるんですけど、純粋に、話す練習というか。それのためだけでも十分いい効果があるなと思います。
「AIと手作業を、混ぜ合わせる」
お話を伺っていると、新しいことに挑戦して何でも取り入れてみよう、という姿勢を感じます。最近はAIも活用されているのですか?
塩冶さん そうですね。1つ新しいことっていう意味ではAIです。今ずっとSEOの話をしてましたけど、僕の調べる限り、SEOのAIバージョンがAIOというのかな。AIに何かを尋ねた時に、どれだけAIが上手にえんや呉服店を紹介してくれるかが重要かなと思ってまして。
多分今、Googleでわざわざ検索をするのは、30代40代ぐらいまでの人じゃないかなと思います。それより若い人はInstagramとかで情報を見つける。さらに若い人はAIを使って、尋ねた時に情報が最初に出るかどうか。だからAIに聞いた時に、えんや呉服店がどう紹介されるかというところですね。
イベント告知の紙物や印刷物も、ご自身で作られているのですか?
塩冶さん 以前は自分で作ってましたが、最近はAIで作ります。ただ、AIで作ったものが今あふれ出てきてるので、いかにもAIだなと思うと、あんまり人が見なくなっちゃってるんです。「AIっぽいな」「またAIか」。内容を見るよりも「AIで作ってるっぽいな」が先に来ちゃうので。
それを改善するにはどうしたらいいかというと、結局AIと手作業を混ぜ合わせるというか。楽なところだけAIに作らせて、はめ込んだり文字を打つのは自分でやる。それをしないと、ちゃんと見てもらえる情報にはならないかなと、感じつつあるところです。
現役で働く世代のお客様が、増えていった
これからえんや呉服店さんを、どういったお店にしていきたいですか?事業として思い描いている未来があれば教えてください。
塩冶さん 1つは、小売りで物を売ること自体が、世の中的に難しい状態になっていますので。なぜえんや呉服店で買わないといけないか、というところです。それを表現するのは、多分リアルな僕や妻の魅力かなと思うんです。僕ら自身の個性をどれだけ伸ばして、表現できるか。
あとは、今来てくれるお客さんをどれだけ楽しませるか。着物を買うのも、本当に着物が好きなコアな人たちになると、ノリで買うかどうかみたいな流れになるんですよね。着た時に楽しい未来が見えてるから「買っちゃうか」となる。そういう楽しいエンターテイメントな世界を作っていかないといけないのかなと思っています。
若い方で着物を楽しみたいという方も、増えてきているのですか?
塩冶さん そうですね。元々僕が松江に帰った時は、お客さんの年齢層は高齢な方がメインだったんですけど、今はもう現役で働く世代が基本メインになってきています。
皆さんホームページも見るし、「若い人がやってる呉服屋さんに行きたかった」というところで見ていただけてる。あとは、子供たちの卒業式や入学式を見ても、僕らと同世代のお母さん方が並んでいます。そういう人たちに魅力のある着物を、僕らが紹介しないといけないなと思っています。年齢層は圧倒的に若くなりました。お客さんも、昔とはもうガラっと変わりました。

着物のお店は敷居が高そうという印象があると思うのですが、店内を紹介するフリーページを拝見して、とても親近感が湧きました。1階から2階まで案内する動画もあって、これを見て「安心かも」と思って来られる方もいるのかなと感じました。
塩冶さん ありがとうございます。ちょっとジレンマが色々あるんですけど。お店の敷居を低くして幅広く来てもらうのも、お店としてはとてもいいことです。ただ、やっぱり呉服屋に来るには、できればドキドキはしてもらいたい。中に入ったら「わ、こんな素敵な世界があったんだ」みたいな、そんな世界も見せたい。だからお店を改装した時に、あえて外から見えにくいようにしたんです。
ただ、うちに来られるお客さんは、洋服で来る人は少なくて、みんな着物を着て来るんです。初めて来た人がお店に入った瞬間、着物の人が3、4、5人おしゃべりしていて、「わ、ここだけちょっと別空間」みたいな。実際そうなってきてるので、そういうお店でありたいなと思ってます。

「不器用なホームページの方が、人を引きつけるんじゃないかな」
最後に。これからホームページを作ろうとしていて、「自分には難しそう」と感じて一歩踏み出せない方に、アドバイスをいただけますか?
塩冶さん もはや綺麗なホームページが揃っている世の中なので、むしろ不器用な方が僕はいいんじゃないかな、人を引きつけるんじゃないかなと思います。なので、不器用であれば不器用なりに、文字だけ打ち込むだけでもいいと思います。
あと、自分で作っていくと、すごく愛着のあるサイトになっていくんです。検索が上位に上がっていくのは、自分が作ったサイトが成長しているイメージで。これを手放したくないという思いはあります。
取材協力
えんや呉服店
塩冶 栄(えんや さかえ)さん
島根県松江市竪町86-1
昭和28年創業。着物の販売から、きもの着方教室・組紐教室、着付け、着物のお手入れ・お洗濯まで。「きものは面白くて楽しい世界です」を掲げ、ご夫婦で店を営む。
- ホームページ:https://matsue-kimono.com/
- YouTube:https://www.youtube.com/@enya5298
- Instagram:https://www.instagram.com/enya_gofukuten/
新着記事
-
「1ヶ月のめり込んで勉強すれば、なんとかなるんじゃないか」—— 松江で検索1位になった呉服店の、ホームページとSNSの使い分け
-
【デザインのコツつき】カフェのホームページ作成ガイド|おしゃれに見せる作り方と費用相場
-
「テンプレートがあって、"自分でもできそう"だなって」── 秋田・ニューボーンフォト先駆者が、2つのサイトを1人で育てるまで
-
「うーん」と練って、うねりをつくる。300件のホームページを生み出した、デザインも言葉も強い制作会社ウーネリ
-
飲食店のホームページの作り方|事例・費用相場・テンプレートで自作する手順
-
開業・起業・個人事業主のためのホームページ作成完全ガイド|業種別テンプレで最短30分